作業療法学科の川﨑研究室では、「テクノロジー×作業療法」をテーマに、先進技術を人々の生活支援やリハビリテーションにどのように生かすことができるのかを研究しています。
今回は、川﨑研究室で取り組んでいる3つの研究を紹介します。
VRを活用したコミュニケーショントレーニング
研究室で取り組んでいるテーマの一つが、VR(Virtual Reality:仮想現実)を活用した研究です。
VRゴーグルを装着すると、現実とは異なる仮想空間の中に入り、さまざまな人や場面とのやり取りを体験することができます。川﨑研究室では、この特徴を生かし、仮想空間の中でコミュニケーションを練習することによって、対人コミュニケーションにどのような変化が生まれるのかを検証しています。

LiDAR技術で「生活する空間」を3次元化する
もう一つの研究テーマが、LiDAR(ライダー)技術を活用した生活環境の3次元化です。LiDAR(Light Detection and Ranging)は、レーザー光を利用して物体までの距離や空間の形を測定する技術で、地形調査や自動運転など、さまざまな分野で活用されています。
川﨑研究室では、この技術を使って住宅などの生活空間を3Dデータとして再現し、患者さんの退院支援や生活環境の評価に活用する研究を進めています。


たとえば、病院から自宅へ退院する患者さんにとって、「玄関の段差を越えられるか」「車いすで廊下を通れるか」「家具の配置は安全か」といった住環境の確認は非常に重要です。生活する場所を3次元データとして再現することで、実際にその場へ行かなくても空間を確認したり、より具体的な環境調整を検討したりできる可能性があります。
生成AIで専門職の「考え方」を支援する
さらに川﨑研究室では、ChatGPTなどに代表される生成AIを、作業療法の臨床や教育に活用する研究にも取り組んでいます。
作業療法士は、患者さんの身体機能だけではなく、その人がどのような生活を送りたいのか、どのような環境で暮らしているのかといった多くの情報を組み合わせながら支援方法を考えます。
こうした専門職の思考や臨床推論を、生成AIによってどこまで再現・支援できるのかを検討し、将来的には専門職の判断を支える新しい仕組みの開発を目指しています。
先進技術を「人の生活を支える力」に
川﨑研究室が大切にしているのは、最新のテクノロジーそのものではありません。
「この技術を使えば、人の生活をもっと支えることができるのではないか」
その問いを、作業療法の視点から考えることを大切にしています。
作業療法士というと、病院や施設で患者さんにリハビリテーションを行う姿を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、作業療法の可能性はそれだけではありません。
VR、3D技術、生成AIなど、これからの社会をつくるテクノロジーと作業療法を組み合わせることで、これまでになかった新しい支援の方法を生み出すことができます。
川﨑研究室では、学生自身の「こんな技術を作業療法に使えないだろうか?」というアイデアも大切にしながら、未来の作業療法につながる研究に取り組んでいます。

講師 博士(情報学)
川﨑 一平
専門分野
テクノロジーと作業療法、地域リハビリテーション
1987年熊本県生まれ。大学卒業後、作業療法士として医療機関に勤務。2014年から2年間、青年海外協力隊としてマレーシアの障害者支援NGOで活動し、異文化の中でリハビリや生活支援に携わる。帰国後、東京大学大学院に進学(国際協力学)。2019年より京都橘大学でアカデミックキャリアをスタートさせ、2025年に静岡大学大学院で博士号を取得(情報学)。
座右の銘は「行動は最良の選択」。
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