2026年9月27日(日)、京都府庁旧本館の旧議場で開催された「第8回 高齢者と若者の縁のある住まい方フォーラム」に、作業療法学科の川﨑一平講師が招かれ、「京都ソリデールの実態とそれぞれの世代に与える影響」をテーマに講演しました。
本フォーラムは、高齢者と若者が同じ住まいで暮らす「異世代ホームシェア」について考える催しです。家族社会学、作業療法学、住宅計画学など、異なる専門分野の登壇者が、それぞれの視点から世代を超えて共に暮らすことの可能性を紹介しました。

会場となった京都府庁旧本館は、1904(明治37)年に竣工し、国の重要文化財に指定されている建物です。旧議場は、1905(明治38)年から1969(昭和44)年まで実際に京都府議会が開かれていた場所で、歴史を感じる空間の中での講演となりました。

異世代ホームシェアとは?
異世代ホームシェアとは、高齢者と学生などの若者が同じ住まいで暮らし、日々の生活の中で交流する住まい方です。京都府が推進する次世代下宿「京都ソリデール」では、高齢者宅の空き室を大学生などに低廉な家賃で提供し、双方の相性を大切にしたマッチングや、同居後のフォローが行われています。
「おかえり」と声をかけ合うこと、一緒に食卓を囲むこと、スマートフォンの使い方を教え合うこと。こうした身近なやり取りが、世代を超えたつながりを育むきっかけになります。

フィールド調査から見えてきたこと
川﨑講師は、科学研究費助成事業(若手研究)「異世代ホームシェアリングにおける共生の在り方に関する研究」(課題番号:20K13786、2020~2024年度)に取り組んできました。今回の講演では、異世代ホームシェアを実践する10世帯21名(高齢者13名、若者8名)へのインタビューとフィールドワークをもとに、共に暮らす実態や、それぞれの世代への影響を紹介しました。
調査では、高齢者には活動や交流の機会、日々の安心感が生まれ、若者には新しい学びや地域とのつながりが広がる様子が見えてきました。また、家賃収入や住居費の軽減などをきっかけに始まった同居が、共に暮らす中で、人とのつながりの大切さを実感する関係へと変化していました。

人とのつながりから、暮らしを支える
作業療法では、その人が日々どのような活動をし、誰と関わり、どのように暮らしているかを大切にします。異世代ホームシェアの研究も、人とのつながりや役割が、暮らしにどのような変化をもたらすのかを考える取り組みです。
今回の講演では、こうした作業療法の視点から研究成果を紹介し、高齢者と若者が日常の交流を通じて互いに支え合う、新たな住まい方の可能性を解説しました。
【関連する論文・学会発表・シンポジウム】
1.The Impact of Intergenerational Home-sharing on the Lives of the Elderly in Japan, TOTA 2022 Annual Meeting and International
Conference, 台湾, 2022.
2.日本の異世代ホームシェアの実態とそれぞれの世代に与える影響, 川﨑一平ほか、日本世代間交流学会誌, 12(1), 3–12, 2022.
3.異世代ホームシェアは高齢者世代と若者世代それぞれに何をもたらすのか, 川﨑一平ほか, 第57回日本作業療法学会, 沖縄, 2023.
4.異世代ホームシェアは在宅認知症ケアに何をもたらすのか―当事者たちの関係性の変容に着目して―, 保健医療社会学論集, 34(2), 39–49,
2024.
5.Encouraging Meaningful Engagement and Motivation in Individuals with Dementia, シンポジウム「Emotional Pathways:
Regulating Emotions for Safe walking travel in Dementia」, ロンドン, 2025.